現代のジオフォトグラフィー

09.06.2016
Jürgen Nefzger, Cofrentes, Espana, 2005. ©Jürgen Nefzger

Jürgen Nefzger, Cofrentes, Espana, 2005. ©Jürgen Nefzger

ダニエル・メオーによる寄稿

風景写真が芸術の分野ではっきりとその存在感を示すようになったのは、1970年代以降のこと。中には明らかに絵画の影響を受けているものもあるのですが、それとは別に、地理学と密接なつながりを示す作品があります。これらは長い時間をかけたフィールドワークと実際の体験に基づいて撮影されたもので、人間の活動がいかにして哲学者アンリ・ルフェーヴルの言う「空間の生産」、自然環境との融合、調和へ至るのか、見る者に教えてくれます。

ジョン・デイヴィス、ヨアキム・ブローム、ガブリエル・バジリコ、ユルゲン・ネフツガー、ベルトラン・ストフレといったアーティストたちの作品の中に身を置くと、風景はまるで異なる要素が混ざり合いポリリズミックに進化する巨大な有機体のように感じられます。そして、その景色の中に暮らす人々がもたらすものは、大規模な変化だけでなく、その土地だけに見られる些細な点にも現れています。景観の複雑な変遷を理解するためにはあらゆる要素が関わってくるのです。

写真という媒体の特徴は、環境に対する人間の影響力を可視化できることです。現象の形態 − 見たままの姿と写真になることで生じる変化 − から、新たな角度で景観を検証することができます。理論解析の手法や情報の記録媒体であるにとどまらず、調査研究の手段として、地理学的考察や国土管理の計画作成にも役立てられるのです。

 

ダニエル・メオーは、サンテティエンヌ・ジャン・モネ大学で美学・芸術科学の教授を務める現代写真の専門家です。