「アート化」とは?

17.08.2017
Bronzino (Agnolo di Cosimo di Mariano Tori, 1503-1572), Portrait d'homme tenant une statuette (l'identité du sculpteur Baccio Bandinelli est contestée, mais le modèle était probablement un sculpteur), Musée du Louvre.

Bronzino (Agnolo di Cosimo di Mariano Tori, 1503-1572), Portrait d'homme tenant une statuette (l'identité du sculpteur Baccio Bandinelli est contestée, mais le modèle était probablement un sculpteur), Musée du Louvre.

絵画や彫刻はいつの時代にも芸術(アート)だと考えられていたわけではありません。中世には、格の高い「自由技芸(artes liberales)」というよりはむしろ「機械的技芸(artes mechanicae)」に分類され、技能として捉えられていました。このような営みに携わる人々は「アーティスト」ではなく、金銭を得るために手工芸を生業とした職人たちであり、その社会的地位はかなり低いものでした。現代の感覚でいう「アート」という観念が生まれ世に知られるようになるまで、また芸術を象徴するイメージが完成するまでには、複雑な過程を必要としました。用語の変更、新たな制度の発足、慣習の移り変わり、そしてもちろんアートに対する認識の変化…。こうして絵画や彫刻の「アート化」は、長い年月を経て成し遂げられたのです。

アートと非アートの間に存在する境界線は、他分野の活動によって破られてきました。絵画や彫刻がそうであったように、その出発点は工芸であることが多く、楽器製作やガラス工芸、陶芸といった「美術工芸」は、芸術と工芸の境界線を行き来していました。あるいは写真のように、資産家の道楽や技術的な興味から派生したものもあります。映画は祭りでの見世物や文化産業から、アウトサイダーアートは美術教育を受けていない人々から、漫画は子供の娯楽から、展覧会のキュレーターは美術館業界の仕組みから、はたまたストリートアートのように、法に触れる可能性のある行為から…。こうして話している間にも、アート化のプロセスは日々進行しているのです。

アート化とは何か。この疑問は、限りなくアートに近い他ジャンルにも及んでいます。たとえばガーデニング“アート”や料理の“芸術”、さらには香りの“アート”まで。これらはすべて職人技術と商業活動の狭間にあります。ただこの3つの場合、一時的かつ予測できない性質の「アート」であること、また身体的あるいは感覚的機能とのつながりを持っていることから、「アート化」が完全に達成されるまで大きな障害に直面するでしょう。しかし、未来は誰にもわかりません…。