デスモンドの描いた風景:地中海沿岸

24.05.2016
Dessin de Desmond Knox-Leet: Assise

Dessin de Desmond Knox-Leet: Assise

地球上にあるさまざまな世界の探索。diptyqueの歴史をひも解けば、そこには旅への賛美が散りばめられています。それが現実に存在する海岸線であれ、想像上の浜辺であれ、はるか海の向こうにある彼の地への思いは、決してひとときの気まぐれではありません。デスモンドの描いたスケッチからトラベルサイズの香水瓶に至るまで、diptyqueにはつねに旅の香りが漂っています。

diptyqueと旅の関係は、三人の創業者まで遡ります。彼らの人生、こだわりは、世界の風景、開放的な空間、多様な生活様式、そして香りへの愛に満ちていました。幼少期を東アジアで過ごしたイヴ・クエロンは、フランスとアジアを船で行き来し、後には劇場支配人としてヨーロッパ中を旅しました。デスモンド・ノックス=リット一家はアイルランドに移住したスコットランド系移民で、彼は遠い異国の香り漂うイギリス連邦ゆかりのスパイスや英国製パフュームを気に入っていました。

その後も彼らは定期的に海外へ渡り、やがて職人たちが手がけたその地の伝統的な工芸品を集めるようになります。そうした品々はサン・ジェルマン大通り34番地にある彼らのブティックに並べられました。

また、クリスチャンヌ・ゴトロは、モザイクタイルのデザインの注文に応えるために、たびたびモロッコへと出かけていました。 

アーティストでもあったデスモンド・ノックス=リットは、旅に出ると必ずスケッチを描きました。彼のノートには、たくさんのスケッチと旅の感想が綴られています。夏場の人気のない村の広場、海岸線、小道、窓、教会の壁、田園地方…。訪れた時や場所が記されていることもありますが、まったく記述のない場合もあり、その空白は想像にゆだねるしかありません。イタリア、ギリシャ、トルコ…多くは地中海沿岸の都市を描いたものですが、フランスの小さな街角のスケッチもあります。そして、中には、ベトナムを思わせる風景も…。