絵文字のストーリー

14.01.2016
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Emoji(絵文字)とは、デジタルコミュニケーションの世界で使われる表意文字や顔文字のこと。2011年にはアップルのスマートフォンにも採用され、一時的な流行ではなく、新たな表現手段として一気に世界に広がりました。

人は文字や会話を通じてコミュニケーションを取ります。また、行間や沈黙の中に意味を潜ませ、実際に言葉にすることなく真意を伝えます。そうした時、私たちは表情やボディランゲージから、言葉の背景や言外の思いを読み取るのです。文中や文末で使われる顔文字(Emoticon: emotion+icon)もまた、言葉にできない心の内を伝えるために使われる、いわば感情を表現する記号。最初の顔文字がスマイルマーク(19世紀に初めて発見されましたが、実際には17世紀に英国の詩人ロバート・ヘリックが『To Fortune』という詩の中で使ったものが最古のようです)であったため、ごく自然に“スマイリー”(英語のsmileに由来)として知られるようになりました。顔文字の中には :-( のように笑っていないものもありますが、あらゆる感情を表す記号が“スマイリー”と呼ばれます。

看板やラベル…今や世界中で図記号を目にします。顔文字も感情を表す、ある種の図記号です。Emojiもまた、図記号の一種。絵(picture)と文字(character)を組み合わせて生まれた日本語で、1990年代終わり頃からEメールやウェブページで使われるようになり、以来、あらゆるタイプのOSが絵文字に対応するようになりました。欧米では口元、東洋では目元の表情で感情を伝えるという文化の違いがありますが、絵文字のすばらしさはその両方が組み合わされていること。日々、新たな絵文字が生まれており、Emojipediaというサイトもあるほどです。

絵文字という、私たちがモバイル端末で使っているこの小さな図記号によって、簡潔かつ生き生きとした感情表現ができるようになりました。プライベートだけではなく仕事上においても、遊び心のあるコミュニケーションが人間関係の潤滑油となってくれます。たとえば、ちょっと大げさに言い過ぎたな、と思ったら最後に :) 。気まずくなった相手には、さりげなく「次回は私ががんばりますね :)。よろしく」。愛想笑いやこわばった笑顔、ふくれ面やしかめ面、眉をひそめた渋い顔、大笑い、怒り…感情を表す顔文字は数限りなくあり、それは世界共通、だれでもすぐに理解できます。一見、堅苦しい文章にならないように絵文字を利用しているようにも見えますが、実はむしろ、相手との仲間意識を高めるために使われている、と言った方がいいかもしれません。歴史的に見ても、人間は自らを表現する手段として図記号や象形を用いてきました。クロマニョン人やネアンデルタール人が暮らしていた洞窟の壁に木炭で描かれた“スマイリー”が残っていないのは、かなり意外です。 

これまでは個人的な感想や感情を控えることが常識とされてきましたが、そうした儀礼的な表現スタイルは姿を消しつつあります。絵文字を使うこと、それはつまり社会人としての役割や振る舞いよりも、ひとりの人間としての思いを優先するということ。窮屈なしがらみから解き放たれて、人間らしくコミュニケーションする日常。すばらしい人類の進歩ですが、自分の思いに気を取られすぎると…要注意。

 

ファッションデザイナー、オランピア・ル・タン(Olympia Le-Tan)とのコラボレーションによる香りのコレクション「ロサヴィオラ(Rosaviola)」。テーマとなったのは「La clef de mon coeur est dans mon sac “私の心の鍵は、バッグの底にあります”」。フレグランスキャンドル、香りのオーバル(フレグランスワックス)、ソリッドパフュームの発売に伴い、女性のバッグの中に潜む女心を表現したオリジナル絵文字アプリ「diptyque emoji」をリリースいたしました。こちらからダウンロードして頂けます :-)