予期せぬ香り

03.12.2015
dessin-desmond

「L’ accident olfactif(偶然に生まれた香り)」という表現がありますが、うまく言ったものです。というのも、diptyqueの香りは、日々「偶然」と共に生み出されているからです。特徴的で、独特の個性があって、他のどこにもない香り…一体どのように調香されるのでしょうか?「偶然に生まれた香り」について知るには、単に完成した製品の成分を分析するだけでは不十分です。フレグランスの開発工程を検証し、「偶然」の正体を突き止める必要があります。

著名な調香師であり、その「鼻」を利かせdiptyqueで活躍するオリヴィエ・ペシューはこう書いています。「diptyqueにとって『偶然に生まれた香り』は、いわば調香という長距離レースの第一歩。新たな側面を発見したときの驚きを持続させるため、香水の頭にのせる贅沢な帽子のようなものなのです」

香料メーカー、フィルメニッヒの調香師、ファブリス・ペレグリン(彼の嗅覚もまたdiptyqueで発揮されています)はさらに続けます。「『偶然に生まれた香り』はdiptyqueというブランドに不可欠なもの。すべてのクリエーションに存在し、製品の刻印となって、その独自性をいっそう際立たせてくれます。偶然とは失敗を意味するものではなく、思いもよらない何かがフレグランスと混じり合うこと。フレグランスに驚きと余韻、陶酔感を与え、それが何ものにも代えがたい魅力となっているのです」。

この二人の熟練クリエイターにとって「偶然に生まれた香り」とは?「調和する香りの中に隠された刺激的な成分であり、調べと躍動感、力強さを与える。不意に現れる音符のようなもの。調和のとれた旋律の中では、音程がずれる不協和音であり、不安定な印象と緊張感をもたらす。よって調律する必要があるのです」。

「偶然」が香りのハーモニーを高めます。当然のことながら、控えめであると同時に力強く、かつ危うさと品性を兼ね備えたものでなくてはなりません。それはdiptyqueというブランドの結晶。才能に恵まれているだけなく、diptyqueを愛し、熟知する調香師のみ手にすることのできる果実なのです。