世界の終わり
14.11.2017今や、空は激しい苦しみのうちに死んでゆく。
その口は黒ずみ、その目から血が溢れている。
空は、苦痛に呻き、全身の筋肉を強張らせ、
肺はせわしない喘ぎをやめることなく、
太陽は美しい黄金のその光に黒い衣を着せ、
この世界の美しい目はその光を奪われ、
その魂にはもはや花々が咲き誇りはせず
もはや生命の根源にも命はない。
心臓に軽い一撃を受けただけで
打ちのめされて人間の体が死んでしまうのと同じように、
世界の心臓である太陽がわずかな傷を受けただけで
世界は死に、混乱するほかない。
月はその明るい白銀の輝きを失くし、
天高く、血で染められた顔を向ける。
すべての星が息絶え、運命の忠実な予言者たる星々が
永遠に消え去ろうとしている。
恐怖のため、すべてが身を潜めようとしている。
火は空中へ逃げ去り、空気は水中に、水も地中に消えた。
この死の混在の内に、美しきものがすべて色を失う。
アグリッパ・ドービニェ 「世界の終わり」(913-931行) 第七の書「審判」 『悲愴曲』 濱田明訳 『フランス・ルネサンス文学集 2 笑いと涙と』 pp.547-548 白水社