ヴェチヴェリオ

26.09.2017
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オードパルファムへと姿を変えた『Vetyverio(ヴェチヴェリオ)』。ハイチ産ベチバーの根茎が持つ自然のままの力強い香気に改めて注目することで、香りを高めることに成功しました。この貴重な植物は自然環境に配慮しながら栽培されており、diptyqueもこれらの活動に賛同しています。

この特別なベチバーが織りなす豊かな香りのハーモニーこそ、『ヴェチヴェリオ』をオードパルファムとして再び調香したいと考えた理由です。ハイチの南西部にはミネラル塩に富む火山性土壌があり、その柔らかな土は栄養を取り込むために3メートルも根を伸ばすベチバーの栽培に適しています。土のなかで広がった根は、節くれ立った根株というよりは、黄金色にたなびく髪の束のよう。ベチバーの特徴であるスモーキーな木と土の匂いを放ちながらも、神秘的な花の香りとさわやかなグリーンノートが混じり合い、互いを引き立てています。

さらに、ほかの成分が加わりひとつとなって、ベチバー本来の香りに力強さを与え、その魅力を増しています。新鮮なウッディノートを支える生き生きとしたグレープフルーツ。パチュリは煙のようなスパイスノートに寄り添っています。そしてターキッシュローズが、偶発的でありながらも巧みに、これらの情熱的な香りとやさしく調和し、『ヴェチヴェリオ』を構成するすべてと相まって、ひとつの香りの世界をもたらします。こうして、すばらしい交響曲のようにベチバーは私たちのもとへ届くのです。

『ヴェチヴェリオ』に用いられるベチバーは、ESRと呼ばれるフェアトレード認証を受けており、栽培に携わる企業は長期にわたり協力体制を築いています。現在では約300の農業団体および農家がこのプロジェクトに関わり協働しています。この取り組みは、diptyqueとも関係の深い香料メーカー、ジボダンによって始められました。その恩恵は商業活動にとどまりません。ベチバーは、ハイチで問題となっている火山灰による土壌の浸食を防ぐことで知られており、土壌の水分を保ち、酸性度を安定させ、汚染された土壌を再生させます。

この協同プロジェクトは、島の南部にあるCaye(レカイ)で進められています。「Caye」はフランス語で小さな島や岩礁、珊瑚礁を意味し、またハイチ語の「Kay」は「住まいで」「家の中で」を表すことから、多くの詩人たちが言葉遊びに取り入れました。サン=ジョン・ペルス、エメ・セゼール、エドゥアール・グリッサン、そして1999年に『Vetiver(ベチバー)』という詩集を著したケベックに暮らすハイチ出身の詩人、ジョエル・デ・ロジェール。このように、ベチバーは西インド諸島では非常に慣れ親しまれ、この地に調和と尊厳ある暮らしをもたらす農作物なのです。

豊かで濃密なベチバー。それは見た目にも美しく、また華やかに香り、オードパルファムの魅力をさらに高めます。その香りの源は根であり、『ヴェチヴェリオ』はベチバーからの贈り物といえるでしょう。