ラ プロヴレス

30.10.2015
EmilNolde-Blumengarten(ohne+Figur)1908

シーズンの始まりにdiptyqueからすてきなニュースが。原材料はまだ秘密。ですが、ここで名前だけ明かすことにしましょうか。その名は「La Prouveresse(ラ プロヴレス)」。 

かつては、”Prouveyresse”と綴られていました。その響きからわかるように、プロヴァンス語の言葉です。地名はしばしばその場所の役割を表し、たとえばProuveyresse に程近いLa Plantade(ラ プランタード)は、荘園の果樹園(プランテーション)を指していました。ラ プロヴレスの道は、サン・ポンドアーズで暮らす修道士たちに食材を提供する農園へと続いています。プロヴァンス語の”prouvi”という動詞はフランス語で”pourvoir(与える、供給する)”を意味することから、「修道士に食料を供給する道」であったことが地名の由来となっているのでしょう。”prouveresse”とはすなわち、”pourvoir”の同音異綴語なのです。 

diptyque創業者の一人、イヴ・クエロンは、南仏の街グラースに別荘を所有していました。昔ながらの風景が残るこの地は、彼にとって秘かな安息の場所でした。そのグラースへと向かう道中にラ プロヴレスがあります。イチジクや糸杉の木立、地域独特のハーブが生えるこの道には、プロヴァンス地方全体に広がる香りがぎゅっと凝縮されています。イヴのお気に入りの散歩コースでもあったラ プロヴレス。その香りは、コレクション34の製作を手がけた調香師、ファブリス・ペレグリンにとっても慣れ親しんだものです。彼は子供時代をプロヴァンス地方で過ごしました。

大きなキャンドル(というより香る柱というべきでしょうか)に修道士たちの通った道の名が付けられたのは、自明の理のように思えます。鼻の利く人であればすぐ香りの正体に気づき、秘密を漏らしてしまうかもしれませんね。