ミニマル・ミュージック

12.04.2018
Quelques compositeurs du courant minimaliste (de gauche à droite) : Steve Reich, Philip Glass, John Adams, Terry Riley, Michael Nyman, et Arvo Pärt.

Quelques compositeurs du courant minimaliste (de gauche à droite) : Steve Reich, Philip Glass, John Adams, Terry Riley, Michael Nyman, et Arvo Pärt.

ミニマリズムとは ジャン=イヴ・ボスールによる寄稿

「ミニマル・ミュージック」という概念が発展を遂げたのは1970年代になってからのことですが、その始まりは60年代初頭のアメリカ、ニューヨークとサンフランシスコでした。静寂をテーマにしたジョン・ケージ(1912-1992)の伝説的作品『4’33”』をはじめとする実験音楽や、前衛芸術グループ『フルクサス』によるコンセプチュアルな作品が、ミニマル・ミュージックの台頭を後押ししました。長時間に及び限られた音を反復させるという意味では、モートン・フェルドマン(1926-1987)もまた、同じ部類に入るでしょう。また、こうした作品の先駆けとして、エリック・サティ(1866-1925)の手がけたピアノ曲『ヴェクサシオン』があります。これは同じフレーズを840回繰り返し演奏するというものでした(ジョン・ケージらが初めて演奏したとき、開始から終わりまでは18時間以上かかりました)。

『弦楽三重奏』を作曲したラ・モンテ・ヤング(1935-)もまた、テリー・ライリー(1935-)、スティーブ・ライヒ(1936-)、フィリップ・グラス(1937-)、ジョン・ギブソン(1940-)、トム・ジョンソン(1939-)らと並び、ミニマリズムの中心人物のひとりに数えられます。ジョン・ケージが発案した不確定性の音楽、そして音列主義から派生した不連続性の音楽からの離脱が急速に進むにつれ、「反復音楽」と呼ばれる音楽の作曲家が増え、「オスティナート」と呼ばれる技法が普及しました。これは、楽曲のひとつの要素(音声、モチーフ、フレーズ)を、同じメロディー、ハーモニー、リズムで執拗に繰り返す表現方法です。この種の音楽のもっとも顕著な特徴として、一定の音調あるいは音階に合わせ、シンプルな和音を用いて、作品の構成要素を意図的かつ徹底的に省くというものがあります。また、規則的なパルス、リズムにもとづいていること、ベースとなる音からの無意識的あるいは漸次的な変化なども挙げられます。

たとえば、テリー・ライリーの『In C』では、演奏者は楽譜に沿ってひとつのフレーズを45分から90分間にわたって、同じリズムで53回も繰り返さなければなりません。しかし、ほとんど感じられないほどの断片的な旋律、その一瞬の重なりに、聴衆は次第に魅了されていくのです。これらの作品は、スティーブ・ライヒにおいてはガーナ、テリー・ライリーにおいてはバリやインドなど、ヨーロッパ以外の地域の影響を反映していました。

ミニマル・ミュージックはその後、ギャビン・ブライアーズ(1943-)、マイケル・ナイマン(1944-)、ブライアン・イーノ(1948-)といったイギリス人作曲家たちによってさらに成熟していきます。