フラワーパワー

31.08.2016
Flower Power - photographie de Bernie Boston (©Bernie Boston) nominée au Prix  Pulitzer en 1967

Flower Power - photographie de Bernie Boston (©Bernie Boston) nominée au Prix Pulitzer en 1967

1967年、サンフランシスコで始まったムーブメント「サマー・オブ・ラブ」のスローガンは「フラワーパワー」。愛のシンボル、そして平和の“武器”として、花は反体制、非暴力ユートピアを象徴していました。

警察をはじめとするあらゆる抑圧的な権力に対する返答が、フラワーパワーでした。それは、自らの身体を花で飾り、またその花を他の人々に分け与えることで、怒りを鎮めようというもの。「武器ではなく花を」を合言葉に、敵に武装解除させようとしたのです。

詩人アレン・ギンズバーグ(1926-1997)が思いついた言葉というわけではなかったかもしれませんが、その発想は間違いなく彼の影響を受けたものでした。1965年、バークレー校の学生が「ベトナム反戦デモの最中、ヘルズ・エンジェルスの集団に襲われそうになったら、どうしたら良いか」とギンズバークに質問しました。仏教に傾倒していたこの詩人は、戦時の心理状態、恐れと暴力の連鎖に打ち勝つことが必要だと説きました。

ギンズバーグは、反戦運動家である学生の質問に対して花を例に挙げ、エッセイDemonstration or Spectacle as Example, Communication or How to Make a March/Spectacle の中で、次のような一文で答えています。「たくさんの花は、それだけで壮観だが、とりわけ最前線でその力は発揮される」。彼は、鋲の付いたレザーウエアに身を包み“おもちゃ”で武装したバイカーたちを相手に、害のないささやかなものと十字架で対峙するよう、仲間たちを鼓舞したのでした。敵の鼻先で「ドラキュラの映画のように」十字架を振りかざし、暴力に立ち向かおう。花で身体を飾り、愛の守護札を掲げるという行為が、取り付く島もない乱暴者たちの心をきっと和らげてくれることだろう、と。

さらに別の一文では、「鐘の音と共に、たくさんの花と満面の笑み、そしてマントラが、すべての人々の魂をそっと動かす。私たちはひとつだ。団結できることを示し、憎しみの感情を鎮めよう」と書いています。モットーでモト(モーターサイクル)に立ち向かうのです…。

こうした思想、運動、理想は、世界の潮流に乗って、花びらから枝先へとすみずみまで届けられました。それは、偉大なアーティストたちによる音楽を通じて広がり、実際にフラワーパワーを体験した人は少ないながらも、世界中で衝撃を巻き起こしました。フラワーパワーは、写真や楽曲など、さまざまな表現を媒介に、それと気づかないうちに私たちの心に刻まれています。そうした種を人々の心に植え付けることのできた詩人は決して多くはありませんが、今なお花を咲かせようと奮闘しています。

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