テュベルーズ

07.07.2016
gravures botanique Rousseau - 137 polyanthes tuberosa - polyanthe tubereuse

gravures botanique Rousseau - 137 polyanthes tuberosa - polyanthe tubereuse

いつまでも漂う官能的で魅惑的な香り。テュベルーズの花は、その芳香ゆえに世界中に広まりました。良俗を乱す、あるいは妊娠中の女性に害を及ぼす…とまことしやかにささやかれていましたが、香りに魅了されたパフューマーたちにとっては、ほんの些細なことに過ぎませんでした。

テュベルーズはメキシコ原産の花で、バニラと同様、16世紀にヨーロッパに伝えられ、その後世界を席巻ました。リュウゼツランはもとより、ユッカ(イトラン)などと同じリュウゼツラン科の仲間です。テュベルーズはかつて香水の街として有名な仏グラース地方で栽培されていました。現在では、インドなど主にアジアで生育されています。開花時期は6月から11月頃まで。小さな星形の花は雪のように白く、摘んでから48時間以上もの間、芳香を放ち続けます。豊潤でみずみずしいグリーンのアクセント、さらにスパイシーな香りがほのかに漂います。

花の世界の中でもひときわ甘い芳香を持つテュベルーズ。いくつもの名高いソリフロール(フランス語で「一輪挿し」の意。一種類の花の香りを表現したパフュームを指す)がこの花から生まれましたが、このかぐわしくも強烈な香りは、吐き気などの不快感を催す負の作用があると流布され、誤解を招くような中傷を受けることもありました。中には、テュベルーズの花は人々を享楽の道へと誘う「罪深き」存在以外の何ものでもない、と非難する者さえいました。若い女性たちだけで(当時、罪は女性と関連して語られるのが常でした)テュベルーズの咲く庭にいるときは、浮かれ騒ぐべきではない、というのが暗黙の了解とされていました。とりわけ夜には…。

テュベルーズは、diptyque創業者のひとり、イヴ・クエロンの母が好んだ花でした。オードトワレ『Do Son(ド ソン)』は、べトナムで子供時代を過ごしたイヴが母親に捧げた香りです。官能的なテュベルーズの香りと、みずみずしくさわやかな植物の香りが戯れるフレグランス。オードパルファンもご用意しています。

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