キモナント

13.10.2016
Eau de parfum Kimonanthe

Eau de parfum Kimonanthe

高い技術を持つ職人たちとのコラボレーションにより生まれた、シックなバザール、コレクション『34』。その2016限定エディションに、『Kimonanthe(キモナント)』が仲間入りしました。ひび割れ加工ガラスのボトルの中で不思議な魅力を放つオードパフューム。身にまとえば、ふわりと漂うオリエンタルな香りに包まれます。 

『キモナント』という名前は、どこか日本語のキモノの響きにも似ています。まず初めに香るのは、アジアではティーオリーブとも呼ばれているモクセイ。このモクセイの白いブーケに日本の塗香(ずこう)が絡み合い、二つの香りがひとつの物語を紡いでいます。塗香とは微細な粉末状のお香で、体に塗ったり、ときには神と対話するために空中に撒いて使われたりしていました。儀式の際には、動くたびに広がる着物の袖口からその芳香が漂ったことでしょう。 

常緑の灌木に咲く小さなモクセイの花が運ぶのは、類まれな幸福感。果実やミルク、そしてかすかな動物性の香りが、絶妙なバランスで混じり合っています。さらに、そこへ塗香が結びつくことで、ほのかにカンフル(樟脳)やクローブといったスパイスの香り漂うウッドノートが加わります。アプリコットのニュアンスを持つモクセイの香気をベースに、インセンスを思わせるスモーキーなトップノートが香り立つ…。さまざまな香りがグラデーションとなって重なり合い、現れては消えていきます。肌の酸性度の変化に敏感に反応しながら調和する様は、まるでメリーゴーラウンドのよう。はかなげで、うっとりとする『キモナント』の香りは、時の移ろいと共に、身にまとう人の個性に馴染んでいくのです。そう、ずっとミステリアスなままに。 

金色を帯びた『キモナント』は、ひび割れ加工が施されたガラスのボトルに詰められています。表面のひび割れ模様はひとつひとつ異なる仕様。この特別なボトルは、最高峰の技術を有するメゾンであり、中でも香水ボトルの製造においては他の追随を許さない仏ヴォルテルスペルジェ社の半自動式ガラス工房で作られたものです。ボトルストッパーは、デスモンド・ノックス=リートやイヴ・クエロンと共に、三人のdiptyque創業者のひとりであるクリスチャンヌ・ゴトロが1960年代に製作したビーズネックレスへのオマージュとなっています。 

中国原産のティーオリーブ、そして日本で生まれたインセンスを使って創り出された香りには東洋的なイメージがありますが、その独創的な調香はファブリス・ペレグリンの探究心によるもの。波打つようなその香りは実に個性的です。それぞれの素材の印象を残しながら移ろうフレグランス…オリエンタルでありながらその枠にとどまらない『キモナント』の香りは、静かなる目覚めへとあなたを誘います。