オードトワレの原点へ

17.03.2016
Eau_des_Sens_image1

これまでにない創作プロセスを経て誕生した『Eau des Sens(オー デ サンス)』。過去をそのままなぞるのではなく、記憶や自らのルーツに思いを馳せる…そんな姿勢を讃え、敬意を表した新作オードトワレです。

1960年代初め、錯視を利用した新たな表現手法が登場しました。この実験的なアートジャンルは、1964年、「オプ・アート(オプティカル・アート)」と名付けられます。提唱者たちが各国からパリに集まり、GRAV(Visual Arts Research Group)を設立したのは1961年。diptyqueが創業した年でした。アーティストであり、優れた審美眼を持つアートファンでもあったdiptyqueの創業者たち(クリスチャンヌ・ゴトロ、イヴ・クエロン、デスモンド・ノックス=リット)は、ビジュアルアートであれ、音楽であれ、ダンスであれ…時代の先端をいくアイデアに高い関心を持っていました。これらの抽象作品は、観る者のアイデンティティに依拠するのではなく知覚に訴えかけるという点で他とは異なっていました。鑑賞者だけでなく作家の存在すら感じさせないアート。オプ・アートの詳細についてはまた別の機会に述べるとして、つまりその狙いは、巧みな色使いや幾何学模様、錯視効果によって、鑑賞者の感覚を揺さぶることです。五感を融合させるという発想のもとに創られた『オー デ サンス』はオプ・アートからヒントを得ており、diptyque創業者たちのモダンな感性・美意識とも共鳴しています。

『Eau des Sens(オー デ サンス)』という名前、その言葉の響きには、いくつもの意味が明確に込められています。「Essence(エッセンス)」とは樹木の品種や特性(参照:樹林)、あるいは蒸留により抽出できる香りが濃縮した物質を指して使われる言葉です。『オー デ サンス』に配合されたエッセンスは、ビターオレンジの枝や花、果実から抽出された4種類。それらが一つに溶け合っています。これまでdiptyqueには、オードトワレの名前に「”O”の文字を入れる」というルールが存在してきました。言葉遊びから生まれた『Eau des Sens』に”O”の文字はありませんが、ルール違反というわけではありません。なぜならそこには、今日まで脈々と受け継がれてきたdiptyque最初のオードトワレへのオマージュが込められているからです。

『オー デ サンス』の香りは、あるコンセプトのもとに調合されています。それは、五感を総動員して生まれる幸福感。コンセプトや配合は違っても、その名前、香りの調和、ビジュアルには、どこかdiptyque最初のオードトワレが感じられます。新しく、そして懐かしい。それが『オー デ サンス』なのです。