Oyédo

17.05.2018
oyedo

この世ならぬヘスペリデスの香り…。『Oyédo(オイエド)』と名づけられたフレグランスには、日本そしてシトラスという、diptyqueが愛してやまないふたつが、ひとつに溶け合っています。diptyqueにインスピレーションを与えてきた日本文化を称えるパフューム。その中心には、柚子が据えられています。

海外でも日本語のまま「Yuzu」と呼ばれる、この日本原産の小ぶりで酸味の強い柑橘類は、秋に収穫されることからキノコや収穫期の遅い果物との相性が良く、非常に高い人気を誇ります。

diptyqueの創業者たちにとって、日本は特別な存在であり、訪日したこともあります。3人は、礼節を重んじる日本の人々を愛していました。日本の文化、なかでも儀式的な要素を帯び、貴族の嗜みから江戸時代には富裕な町人に広まった茶道や香道、華道のほか、江戸の風俗を描いた浮世絵に畏敬の念を抱いていました。これらについては、この『memento』でも、たびたび取り上げています。

diptyqueのオードトワレそしてパフュームには、すべて「o(オ)」の音が入っており、『Oyédo』もしかり。東京の旧名である「お江戸」を思わせるだけでなく、同じく二重母音を含む「Yuzu」とのつながりを感じます。

『Oyédo』では、揮発性が高く、フレッシュでフルーティーなシトラスブーケが香り立ち、それを落ち着いたベースノートが引き立て、全体に安定感をもたらします。トップノートは、柚子やシチリア島のグリーンマンダリン、グレープフルーツ、オレンジが組み合わされた芳醇な香り。これらの果物の甘さと酸味が絶妙に調和して漂います。ハートノートはタイムの香り。ベースノートはウッディです。このように、ヘスペリデスの香りは、ヘッドノートのフレッシュでスパイシーなトーンと、木や植物の柔らかく深いトーン、そのコントラストが際立っているのが特徴です。予想外に、それでいて中心的な役割を演じながらも、きわめてさりげないのがフランボワーズの香り。フランボワーズの果実からは香り成分を抽出することができないため、ラズベリーケトン(フランビノン)が代わりに使われ、この「l’accident olfactif(偶然に生まれた香り)」の完成度を高めています。

3人の創業者たちによって発案された、シルクペーパーを用いたdiptyqueのギフトラッピング。その折り方や色の合わせ方も、日本の折り紙からインスピレーションを受けています。2000年に誕生した『Oyédo』は、diptyque から日本への賛辞であり、香りのオマージュであると言えましょう。