アルベルトの時間

20.02.2018
Albert Einstein (1879-1955)

Albert Einstein (1879-1955)

アルベルト・アインシュタインの登場以降、時間は相対的であるというのが当たり前になりました。観測者の動く速度によって、時間の流れが遅くなると考えることは、論理的ではないようにも感じます。頭の中にある古い認識を打ち砕く必要がありますが、この時間と空間の相対性によれば、ハンマーが釘を打つ前に、それはすでに姿を消しているのです。

一般常識では理解できないことを二言三言で説明しようとするのは、かなり無謀です。この概念を理解するためには、数学や非ユークリッド幾何学の知識が必要です。しかし、ここではあえて、その解説を試みることにしましょう。

アインシュタインが、生涯で最も素晴らしいひらめきだったと語ったのは、『落下中の人間は自分の重さを感じない』という発見でした。つまり、人と物体が同時に落下する際、互いの関係においては落ちているのではなく、無重力状態にあるように見えます。これはふたつが同じ慣性系にいるからです。アインシュタインはこの事実 – 自由落下する観測者は、加速度と重力が釣り合うため、重力の作用がない – を受け、慣性力と重力に関する等価原理を確立しました。彼が、いまでは誰もが知る『特殊相対性理論』の論文を発表した2年後、1907年のことです。

さらにこのとき、自由落下に関するもうひとつのアイデアが、天才の頭に浮かびました。一定の速度でまっすぐ上に移動するエレベーターに対して、水平に光を当てる様子を想像してみてください。その光がエレベーターを通り抜け、反対側の壁に到達したとき、エレベーターの上昇によって、それが壁にぶつかる地点は、最初に入ってきた地点よりも低いことになります。したがって、観測者には光が放物線を描いているように見えます。慣性力と重力の等価原理に基づいて、エレベーターの内部では、それが上昇している、あるいは地上で止まっているにしても重力が存在しており、光は曲がっているように見えるのです。数学者たちと協力して、1915年に重力の幾何学的理論である『一般相対性理論』を発表するまで、アインシュタインは8年を費やしました。

アインシュタインは、大質量の物体が時空の歪みを引き起こすと結論づけ、その結果、真っすぐな軌道であっても、曲がっているように見えると提唱しました。こうした曲線は空間を拡大し、光の軌道は質量の移動と一致します。しかし、その速度は不変であることから、時計の進み方と距離、すなわち時間と空間の変化を測定することが可能になるのです。

特殊相対性理論は、ふたりの観測者の時間の流れは不変であるというよりも、時間と空間が等価であることを示しました。運動によって、時間はその速度を緩めます。動いている観測者の時計の進み方は、静止している観測者の時計よりも、ゆっくりと進むのです。宇宙船の中にある砂時計の砂は、地上にあるときよりも落ちるのに時間を要します。高速で移動すると、時間の流れは遅くなり、人間の老いる速度もゆっくりに…。ボトックスは、光速で移動できない人々のための悲しい代替手段なのかもしれません。

一般相対性理論は、時空連続体の中では質量が時間の流れを遅くすることを証明しています。地球上でも、時間は山頂より地上の方が、ほんのわずかですがゆっくりと進んでいます。人工衛星と地上との間では、時間の補正が必要です。

あらゆるものは、宇宙を構成する時空は、時間によってではなく、いわば時間を生み出す運動と速度に支配されているように映ります。この瞬間は、状況によって長くも短くもなります。地球での時間は、もはやここにしかありません。しかし、もしも観測者や運動がなければ、時間は存在しないのでしょうか?それとも相対的に考えるべきでしょうか…。

Tags: