おとぎ話のはなし

09.11.2018
Arthur Rackham (1867-1939) - illustration du conte La Chanson des fées

Arthur Rackham (1867-1939) - illustration du conte La Chanson des fées

おとぎ話って何でしょう?伝統的に、「昔むかし…」から始まり、読まれるより語られることが多く、太古の時代へ遡るお話。作者は単なる‘メッセンジャー’、別世界で展開し、無垢な心のみが聞き取ることのできる神秘をこの世にもたらす、そんなお話。

 

おとぎ話は人類の誕生以来、今日の子供たちに至るまで、常に声高に、または囁き声で、世代を超えて語り継がれてきました。それぞれのお話の内容は、時代や語り手の脚色により変化を遂げます。神話と同じく、それらは生きた物語なのです。

文学研究上の分類では、おとぎ話は、伝説や英雄物語の起源を語り歴史的事実の肉付けをする神話や、文章や構成を基礎とする小説、数多くのその他の形式の物語と区別されています。それは特有の場面展開(主人公(たち)に降りかかる試練、善と悪の戦い―教訓的な結末)による識別が可能なように見えますが、この特徴に当てはまらないものも多々あります。

また、サバンナ、砂漠、雪山等で芽生え、大陸を駆け巡り、語り部同様、ほぼ全ての母親・父親たちに語られてきたおとぎ話にも、次のような例外があることでしょう。

短い話がほとんどである。

必ずしも教訓的でない。

しかし、それは聞き手を驚かせ、誰もが心の奥底にしまい込んでいた秘密を明らかにしてきました。ものを知らない謙虚な状態を人々に取り戻させ、有益かつ無欲な問いへの情熱を再び植え付けたのです。感嘆と驚異と、幸福感をもたらしながら…。

 

また、おそらく、アンリ・グゴーのような物語作家のみが、おとぎ話とは何たるかを描写できるのでしょう。彼はこう書いています。「おとぎ話は生涯を通じて私をはぐくみ、今の私を創ってくれた。いかにして?私には分からない、それは彼らの秘密だからだ」。また、彼は続けます。「生涯、彼らと接してきて、私は、おとぎ話が年齢不詳の親切な老人のようなものだと知っている。彼らはこの世の心の音楽を理解しているのだ。そしていつでも私たちの問いに答えてくれる…彼らを創り上げた、無垢な心で尋ねたならば」。