「コレクション34」バザールのつれづれに

03.09.2018
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「コレクション34」は毎年、新作と旧作とをシャッフルしつつ、diptyque創業時のブティックのエスプリをアップデートしています。そこは当時、美しいものが雑然と並べられた、まさに“シックなバザール”でした。予想外の趣を持つ品々との偶然の出会いの場だったのです。

したがって、2018年のコレクションのキーワードは、“偶然”。それは偶然が、未知なる可能性や多様なアイデア、運が鍵を握るさまざまな実験への扉を開くから。

「コレクション34」のすべての作品は、diptyqueと職人(アルチザン)/芸術家(アーティスト)とのコラボレーションの賜物です。多くはdiptyqueと偶然に出会い、美しいものづくりを共に志した職人たち。かつてdiptyque創業者たちも同様に、旅の過程で職人たち、そしてサン・ジェルマン大通り34番地のブティックに持ち帰ることとなる彼らの作品との出会いの偶然に身を委ねたものでした。

オードトワレ「サン・ジェルマン大通り34番地」は、香りのハーモニーを再調整し、より濃厚に、オードパルファンとして生まれ変わりました。化学者が考案し、調香師が捉えた、タイトルの起源でもあるブティック店内の香り。開いた香水の瓶、ラグ、ワックス掛けされた家具、ブティックを賑わせた個性的な物の数々… これも時間と偶然によって生み出された、本来、複製不可能な香りです。

顔料を陶土へ練り込む技法により、ポルトガルで手作りされたキャンドルホルダー、ガラス工芸の名工ヴァンサン・ブリードによるひび加工ガラスや吹きガラス、さらに、ジャン=マルク・ガディ・スタジオのデザイン、ガラスメーカーのウォルタースペルガー社の製作による、科学的なレンズにインスパイアされたキャンドルホルダー「フレネル」。最後に、マッシモ・ボルニャの考案した、酸化した鏡面ガラスから成るキャンドルホルダー。これら作品の一つ一つは偶然の要素を持ち合わせ、シリーズの中でそれぞれ極めてユニークなアイテムとなっています。

キャンドルホルダー「バジル」は、60年代初めに誕生したこのdiptyqueのモチーフを流用し、真鍮製のシリンダーに精巧にレーザーカット加工した作品。“偶然”の要素をそこに吹き込むのは、ゆらゆらと揺らめくキャンドルの炎です。

“偶然”とは、結局のところ、発見のチャンスなのかも知れません。長い脚を浸した台から吸い上げた香りを、全身を覆う多孔質の金属に循環させ空気中に何気なく放つ、すまし顔の「バード ディフューザー」や、長い茎から成り、内側に折り込んだ花の穂をベルベットのリボンで茎ごと編んで閉じ込め、フィリップ・フラン流にプロヴァンスの伝統をよみがえらせた「クール・ド・ラヴァンド」。そしてもちろん、色彩豊かで明るいモチーフのノートや便箋など、創業者たちが画家やデザイナーでもあったdiptyqueの歴史を取り入れた文具類も、忘れてはいけません。

さらに、diptyqueのオリジナルパターンが箱に描かれた香りつきマッチやポルトガルの陶製スナッファー、そして「キモナント」、「オポネ」、「オー マージュ」、「ベンジョワン ボエーム」等の「コレクション34」限定オードパルファンたち… 枚挙にいとまがありません。

出会いが弾け、才能が踊る。多くの幸せな偶然にその身を委ねる技術たち。幸いにして、この偶然は偶然ではありません。なぜならこの「コレクション34」のバザール、その個性と洗練、偶然性の相互作用こそ、まさにdiptyque特有の心のあり方だからです。